1980 (ケラリーノ・サンドロヴィッチ) 70点

「80年代」が大嫌いだった。映画、音楽はもちろん、その時代風俗全て。「80年代」に上手いことやってた奴らは全員、ケツの穴から指突っこんで、奥の虫歯をコツコツ叩いちゃると、本気で思ってた。

…これ自体は、非常に健康的な考えですが、一つ問題なのは、こう考えた人が実際の80年代をド田舎でフツーの小学生として過ごしていたということです。つまりいわゆる「80年代」とは無縁の生活だったんですね、僕は。
それが、90年代突入と同時に僕は中学へ入学、その時、ついこの間まで世の中が「80年代」と称する、軽薄で醜悪な浮かれ騒ぎに興じていた(らしい)ことを知り、非常に憤慨した訳です。
なんで、そんなに憤慨したのか、今思うとかなり不思議ではありますが、その原因の一つではないか、と思われるのが忘れもしない、映画「チェッカーズ SONG FOR U.S.A」。
小学3年生の夏休み、都会の親戚の家に遊びにいった僕は、いとこ数人と映画を見に行きました。その時、僕は「天空の城ラピュタ」が見たかったのですが、一番年上の女の子の希望で「チェッカーズ SONG FOR U.S.A」を見に行くことになりました。
最悪でした。全編つまらなかった、というだけでなく、タカモクだか誰かのラブシーンでは吐き気を催しました。
この日の映画体験がどれだけ不快だったか、お知らせするとその後10年間、一度も映画館に行かなかったほどです。

多分、無意識にこの世紀のトラウマ映画の不快さを「80年代」と結びつけていたんでしょう。中学生の僕は。そしてそれ以後、80年代的かそうでないか、というのが僕の物事を見る大きなファクターになっていたようです。
それを最近意識したのが、マッハ!!!!!!!!の感想。一応、知識としてNG集は日本版にだけ付け加えられたもので、NG集といえば当然ジャッキー・チェンを意識、ということは知ってるものの、自分の中でジャッキー・チェンは「80年代的」なもの、として分類されていたようで、感想にジャッキーの名を記すことがためらわれたのです。

えー、つまり何が言いたいかというと、こういう間違った80年代身勝手俺分類を直すためにも「80年代リハビリ」が必要だな、と。その第1歩として大好きなケラ氏(ナイロン100℃・有頂天・劇団健康)が「1980」なんてマンマな映画を作ってくれたのだから、こりゃ見ない手はないな、と。(ここまで前フリかよ)

とは言うものの、評自体はこの時代を知る、m@stervision氏の評を見れば十分なんですが。(終わりかよ)
及川光博は毎度のことながら、素晴らしいっ。IZOも大期待。ケラ監督の次作はエンジン全開のスラップスティック期待、ってことで。

ちなみに、レンタルDVDにて視聴しましたが、レンタル盤は見事に↓の特典が省かれております。やっぱり買えってことですか。…そうですか。

<特典>
メイキングwith監督インタビュー
未公開シーン
舞台挨拶風景
予告編
ケラリーノ監督による音声解説

※ケラ情報
深津絵里主演、作・演出:ケラのカメレオンズ・リップDVD、9月29日発売。当然自分も買うよ。 ASIN:B0002Q2L54