ヴィレッジ (M・ナイト・シャマラン) ★★★

M・ナイト・シャマラン。「B級な絵空事嘘八百)をリアルに語り直す」ことに映画生命を賭け続けている男。
シックス・センス」の大ヒット直後、彼が「ヒットの法則が分かった」と語ったのは、よく言われているように↑を意識的に行うことの宣言だと僕も思う。
しかし「アンブレイカブル」が思ったよりもヒットしなかったせいなのか、シャマランの考えは「サイン」で微妙に変化したと僕は思っていた。

シャマランは「サイン」でストーリーと演出レベルの差を意識的に広げた。
当然、演出のレベルなど一朝一夕に向上するものではないので、結果的に物語の知的レベルを落とすことをシャマランは選んだのだ。
「観客はこの演出と物語レベルの乖離に度肝を抜かれるに違いない」
この考えが、一般の観客にも伝わったのかどうか分からないが、結果「サイン」はアメリカで「シックス・センス」には及ばないものの、
興行収入1億ドルを超える大ヒットとなった。
僕はというと、終盤バットをアレに向かって懸命に振り続けるホアキン・フェニックスにいたく感動し、この白痴スレスレの物語を見事に語りきったシャマラン監督を尊敬の念をこめてこう呼ぶことにした。
白痴映画監督シャマラン(白痴は映画にかかる)と。

「サイン」のヒットを受けて、シャマランは、物語の更なる白痴化に拍車をかけるはず。自分の「ヴィレッジ」にかける期待は当然それであった。
…が、結果その期待は残念ながら不発に終わってしまった。
事前に話のネタバレをしてしまったので、多分そうなのではないか、と思っていたのだけれど、シャマランにしてはやっぱり物語の白痴度が足りない。
どうした、シャマラン! お前はもっともっと白痴な物語を語ることができるはずだ! この程度の白痴で満足するんじゃねえよ! 頑張れ、白痴映画監督シャマラン!
・・・と叱咤激励してみました。

前述の通り、シャマランの特徴は既存の物語を「語りなおす」ことにあるので、当然今までもストーリーは基本的にパクリ。
なので、パクリ・元ネタうんぬんはシャマラン映画への攻撃としては適当でないと思います。確かに脚本料は取りすぎですが。