Demonlover ★★★★★ (オリヴィエ・アサヤス)

監督:オリヴィエ・アサヤス  (「クリーン」 「イルマ・ヴェップ」 「パリ・セヴェイユ」)
出演:コニー・ニールセン、シャルル・ベルリング、クロエ・セヴィニージーナ・ガーション大森南朋、諏訪太郎
音楽:ソニック・ユース



長い歴史を持つ、由緒正しいジャンル「勘違い日本」映画にまた一つ、新たな金字塔が打ち立てられた!
陳腐なコピーですが、まさしく「キル・ビル」meets「ロスト・イン・トランスレーション
一言でいうと「ロスト・イン・トランスレーション」が、わざわざ注意深く避けた地雷を全部残らず踏んづけた映画です。

まず主役のコニー・ニールセンがビジネスで日本を訪れるのですが、そのビジネスってのがなんとエロアニメ。
そのエロアニメの紹介をする、アニメスタジオのディレクター役には大森南朋。かなりはまっていたので、最初はよく似た本職の人かと思ったのですが、クレジットを見たら大森南朋氏で間違いありませんでした。あと、そのエロアニメ中、主役の女の子を三角木馬に乗せた敵役が言うセリフ、「羽衣木馬が空を駆けるぜ!」に悶絶。一体なんというアニメなんでしょうか、これは。

で、コニー・ニールセンがホテルのテレビで見る映像が、

と、「ロスト・イン・トランスレーション」より1000倍正しい日本が映し出されていて、こりゃソフィア・コッポラに喧嘩を売っているのだな、と思ったらこの映画の製作はなんと2002年。
ロスト〜、キルビル公開前ですよ!あーた。 2002年の段階で、これ等をチョイスできるってすげーんじゃないのか、オリヴィエ・アサヤスって天才かもしんない、と一瞬思いました。確かに「イルマ・ヴェップ」は凄く面白かったんですが。
「イルマ・ヴェップ」は一言でいうと、マギー・チャンをフランスに呼んで、映画を作ろうとした気狂い映画監督が、気狂いフィルムを残して失踪する、という映画。
その気狂いフィルムが結構いい味を出していて、フィルムの中のマギー・チャンが「マギー・チャン・ビーム!」とか「マギー・チャン・フラーッシュ!」とか出して大活躍するんです<半分本当。その後オリヴィエ・アサヤスは本当に、マギー・チャンと結婚して、すぐ別れちゃったんですが。

という訳で、実は全然「勘違い日本」じゃありません、この映画。「ロスト・イン・トランスレーション」と比べたら、遥かにこっちの日本が正しい。自分が配給関係の人なら、絶対「ロスト〜」に公開ぶつけたのになぁ。間違い無く惨敗ですけど。*1
あと、惜しむらくはこの映画、日本が出てくるのは前半だけなんですね、実は。上の評価も前半部分だけに対して。後半は、実際に女性を監禁・陵辱した映像を配信する闇サイト追求みたいな話になっていくんですが、個人的にはその組織も日本に置いて、全部日本内での話に出来なかったのかなぁ、という思いがむくむく。

あと音楽はsonic youth! といっても、自分は「Dirty」までしかちゃんと聞いたことない人なので、特に感慨なし。
そういえば映画ファンになってから、音楽にすっかり疎くなっちゃたんですが、なんかブライアン・ウィルソンSmileが本当に出たらしいですね。音楽業界は進んでるんだか、後戻りしてるんだかよく分からん。

ってここまで書いたら、樋口泰人さんの日記で、この映画来年公開決定、とのお知らせが。ビックリ。邦題「デーモンラヴァー」?
http://boid.pobox.ne.jp/contents/diary/boiddiary/boid2004_10.htm

小ネタ。ジーナ・ガーションが着ていたTシャツの文。
「I love Gossip.」


・追伸
結局、風邪が治まらないので、下弦の月ヘルボーイデビルマンも見に行けませんでした。来週。

*1:でも、別にロスト〜は嫌いじゃないです。特にDVD特典映像の藤井隆は面白いので必見。<特典だけかよ