電車男 (村上正典) ★★★

結論からいうと、日本映画界の底力を見た。
…と思ったんだけど、スタッフほとんどテレビの人みたいだね。もう、日本映画界にプログラム・ピクチャーを作る力は残っていないのだろうか。まあ、とにかく4月下旬クランクインという強行スケジュールとは思えない出来に恐れ入りました。
電車男役の山田孝之は「六番目の小夜子」の時から知ってるんで、なんか彼が映画の主演を張ってる事実に結構感動。まあドモリが多少嘘っぽいけど、リアルドモリストの俺が及第点出しときます。(関係ないけど、allcinema onlineによると彼は「実録・関東ヤクザ戦争2 修羅の代紋*1」の脚本を書いたことになってるんだが、これ本当?)個人的には「誰も知らない」清水萌々子ちゃんが出演していたのが嬉しかった。まあ、最初登場した時は「なるほど、オタク→非オタクだけじゃなく、ロリコン→年上好みという成長軸も用意したのか。なんてチャレンジ精神溢れる脚色なんだ!」と戦慄していたところ勘違いだったので残念、というかほっとする。この清水萌々子ちゃん登場シーンはラストの(バレ→)「ラヴソング」落ちに繋がっていて、俺なんかはそりゃあ電車でラブ・ストーリーやるんなら、絶対これやりたいよなー、プログラム・ピクチャーにこういうしたたかさは大歓迎だぜ、なんて思う訳ですが。とりあえず、告白時に(バレ→)「オタクの服装に戻る」脚色は結構素晴らしいと思いましたよ。最後にテレビ版の宣伝が出るのも支持。これくらい浅ましい方が見てて安心できます。

電車男」の話自体は、以前まとめサイトをずらっと読んだ時には単なる「逆プリティ・ウーマンもしくはマイ・フェア・レディ」と思ったんだけど、日本でこの手の話をやると「女子高の教師と生徒」的な「蒔いた種は自分で収穫」「自給自足」とでも言うべき、結構生々しい農耕型恋愛(今作った)な物語になっちゃうのを「教育者」の役割を2ちゃんねるの第三者に設定するだけで、登場人物が全員ピュアピュアに早変わり、というこのトリックを最初に編み出した奴はやっぱり天才だと思った。