Le Temps du loup (ミヒャエル・ハネケ) ★★★

Le Temps du loup

 確か今年の初め頃、「オオカミの時間」という邦題を見かけた記憶があるものの、未だ公開されないミヒャエル・ハネケ2003年作品。
 「ピアニスト」と「ファニーゲーム」の2作品で後味最悪映画の作り手として一躍有名になったミヒャエル・ハネケ。でもこの2作の間にもう1作「コード:アンノウン」って映画があって、これがどういう映画かというと(つまらなかったからあまり覚えてないんだが)、序盤いくつかの話の材料が提示される。ミヒャエル・ハネケのことだから、いやーな映画になるんだろう、と当然考え、その材料の最悪の組み合わせを思いつき、ウワーと鬱になっていると、映画はそっちの方向には結局いかずに終わっちゃう。
 つまり、ハネケは第二の「ファニーゲーム」を予想して見たであろう、観客の期待を思いっきりすかしたんですな。いや、実際はどうか知らんが俺はそう思った。こういう風に奴は観客の心をもてあそぶのが好きなんですよ。
 で、「ピアニスト」の次の作品になるこの映画なんですが、主人公一家が別荘を訪れると、侵入者に占拠されているという「ファニーゲーム」テイストな冒頭。そして早速、開始5分で一家の大黒柱が死亡。家を追われたイザベル・ユペール演じる母と子供たち。放浪している途中、同じく放浪を続けるある集団と出会う。世界の終わりが示唆される中、その集団と放浪を続ける一家だったが、途中ある事態…ぼかしていうとルワンダ虐殺を逃れたツチ族が難民キャンプで遭遇した事態が発生し、おおっ、ここから一気にカタストロフか!?、と思った途端、あっという間に映画は転回しある種感動のエンディングへと一気に突入していくのだった。クソ、またすかしやがった。という訳で順番からいくと、最新作"Hidden"はとっても期待できると思います。