エリザベスタウン (キャメロン・クロウ) ★★★1/2

 「あの頃ペニー・レインと」で自分史を描いたキャメロン・クロウが、今度は父の死、仕事での失敗、そして絶望からの再出発、というより普遍的な出来事を描いた作品―だと思って初日に見に行った。
 そしたら「俺の女の好みってこうなんだけど、どう? もしダメっていったらおまえんち爆破」という「ペニー・レイン」以上にパーソナルな映画だったんでビックラこいた。
 見たら分かるとおり、この女性キルスティン・ダンスト演じるクレアの非人間ぶりが凄くて、観客に自分の趣味を受け入れてもらおうと必至なキャメロン・クロウは「1デザイナーが10億ドルの負債の責任を一人で背負って会社を辞める」というこれまたありえない設定をぶつけてこれをなんとか相対化しようとする。が、結果轟沈。
 これが、キャメロン・クロウじゃなくてマイケル・チミノとか、マイケル・ベイとかロブ・コーエンとか坂口博信とか坂口博信だったらすんなり納得できたところだが、キャメロン・クロウの手堅いフィルモグラフィーではやっぱり説得力があまりない(ええ、見方間違ってますよ)。そこが残念だと言えば残念だけど、個々のシーンは良いシーンだらけで、最後の旅も「もうちょっと長くても良かったのに」とつい思っちゃう、ちょうどいい長さで心地よく終わり。(でも、ディレクターズカット版なんかで旅が長々と続くバージョンが出たら見て見たい)
 劇中、オーランド・ブルームが何度も「フィアスコ(大失敗)!」って言うんで、レム・コレの「フィアスコ」はいつ発売だろう、と思いながら映画を見てた人はかなりいたはず。