テキサス・チェーンソー ビギニング (ジョナサン・リーベスマン) ★★★1/2

 ええと、面白かった。
 前日譚ということで、「レザーフェイスの出生の秘密」や「チェーソーとの出会い」、そしてあの一家の狂気の正体が全編を通じてじっくり描かれる…のかと思いきや、それについてはほぼ全てアヴァンタイトルで済ましてしまい、後はいつもと同じという、伊藤家もビックリな脅威の節約術に感心。これはどうもマイケル・ベイの発案らしく、多分「『悪魔のいけにえ』じゃなく『テキサス・チェーンソー』のプリクエールなんだし、クドクド説明しなくても親父がリー・アーメイだからってことでみんな納得するんじゃないか」という判断だと思われる。
 この判断は誠に正しく、リー・アーメイが全編に渡り大活躍で、大爆笑間違い無しの「バランス!」レザーフェイスことトーマスくんが「チェーンソー童貞」を捨てる時に言う「そいつをうならせろ!」等、名ゼリフが満載で「フルメタル・ジャケット」と並ぶアーメイの代表作となったことは間違いない。
 そして最後は「この家族は、実はまだテキサスに住んでいるのです」とつげ義春風に終るので、誰もが心洗われることとなるだろう(ちょっと嘘)。


 正直、ホラー描写に関しては俺が嫌いな「いない…と思ったらいた!」があまりにも多い事や、何故か「主人公達が車から引きずり出されて、吊り上げられる」までの描写が全く無いこと(これ重要じゃない?)、ここまでオリジナルをなぞってるのにラストが朝じゃないこと(でも、夜ならではのラストカットは結構良かった)、等不満もあるんだが、「トーマスくんがチェーンソーを家に持ち帰る途中」のカットや「牛」等、感動的な所もたくさんあったので満足。