007 カジノ・ロワイヤル (マーティン・キャンベル) ★★★★1/2

 先日買った「007 アルティメット・コレクション BOX [DVD]」をせっかくなんで、ことある毎に無理矢理自慢してるんですが、まあ大抵「007が大層お好きなんですね…」位の冷ややかな反応がほとんどな訳ですよ。そう言われると、ああそういえば俺って大して007のファンじゃなかった、と気付くんですな。だってシリーズ一応全部見てるけどほとんど1回だけだし(例外は一番好きな「女王陛下の007」で2回見た)、今回BOXを買ったのも以前出た2種類のDVDは一枚も買ってなくて、今回がDVDの最終版だから、っていうどっちかというとDVDマニアとしての理由が一番なんですよ。
 昔を思い起こせば007を見始めたきっかけも、とり・みきの「吉田さん危機一発」を読んで「007を見といた方がこの本をより面白く読めること確実」というのが理由だったなあ。あ、いわゆる名作映画を見始めたきっかけも「とり・みきのキネコミカ」を読んだからだった。ん、SFを読み始めたきっかけもとり・みきの「SF大将」だっけ。
 ああ、俺の人生はとり・みきに操られている
 という衝撃の事実が分かった所で今回の映画なんですが、まあとにもかくにもアクションシーンが素晴らしい。「特捜班CI☆5」、「007ゴールデンアイ」で御馴染み、マーティン・キャンベルと名編集者スチュアート・ベアード*1のコンビで御送りする、迫力があるだけじゃなく何が起こっているか観客にもよく分かる、まさにお手本のようなアクションシーンの数々は一つ一つの出来も素晴らしいんだが、アクション自体が今回のストーリーであるボンドの成長を雄弁に物語っていて、序盤の「ヤマカシVSターミネーター」な如きアクションシーン(ボンドがターミネーター役ね)、そして今回のボンドガールであるエヴァ・グリーンを巻き込み、二人の関係の進展を描いたホテルでのアクション、そして静のアクションシーンともいえるカジノでのポーカー(これがちょっと心配だったけど、なかなか面白かった)、二人の関係の総決算であるラストのアクションシーン、とちょっと大げさに言えば単純にアクションシーンを繋げただけでもストーリーが全部分かるんじゃなかろうか、という按配。
 そしてそのアクションの数々に説得力を与えるのが、我らがNEWボンドことダニエル・クレイグそして彼の肉体である。後半の目玉である、拷問シーンは「何で映画ではこういう拷問やらないんだろう、と常々思っていた」という声が多数出るほどご好評なようなんだが、何故映画であまりこの手の拷問が描かれないのかというと、間違いなく一番の理由はこの拷問に耐え切れるだけの説得力を持った肉体の俳優がいないからである。もちろん我らがクレイグは、その全裸の映像からも説得力満点。正直、クレイグとショーン・コネリー以外のボンドは間違いなくこの拷問に耐えることはできないと思う。この点からいっても、クレイグボンドにはもうしばらく頑張ってもらい、毎回色んな拷問メニューを試されて欲しい。
 という訳で、今回の「カジノ・ロワイヤル」はこのシリーズで一番好きかもしんない、と思った。まあ、これからDVDBOXを全部見直して決める予定だけど。
 あ、今回の主題歌なんですが歌ってたのが元SOUNDGARDEN、TEMPLE OF THE DOGのクリス・コーネルだったんでビックリした。というか、彼って今、元のRAGE AGAINST THE MACHINEにいるんだってな。かなり好きだった癖に今知った。歌は結構きっちり007の主題歌になってて良かったっす。

*1:代表編集作品:オーメン、スーパーマンリチャード・ドナー作品多数。監督としてはデビュー作「エグゼクティブ・デシジョン」でホームランをかっ飛ばした後、ホニャララ。