消えた天使 (アンドリュー・ラウ) ★★★

 正直「傷だらけの男たち」は、香港一のヒットメーカーであらねばならぬ、という呪縛ともうそろそろ新しいことも始めたいぜという二つの相反する思いに引き裂かれた中途半端な作品だったと思うんだが、今作は「自分のホームグラウンドは未来永劫香港である」という確固たる信念、そして中途半端な職人監督に甘んじてしまった「デイジー」での後悔を今度は晴らすとばかりに、ハリウッドデビュー作でありながらハリウッドへの執着を微塵も感じさせない奇跡の映画に仕上がっている。
 何よりミーガン法を扱った映画でありながら、賛成派であろうと反対派であろうと共に嫌な気持ちになり手と手をとりあえる点が素晴らしい。こんなにハリウッドで憑き物を落としたアンドリュー・ラウが香港で何を撮るのか非常に楽しみである。
 あと、劇中に登場する犯罪者連中の行動が一部俺にそっくりなので、モデル料を貰いにいこうと思った。