プリンセス・アンド・ウォリアー (トム・ティクヴァ) ★★★

 タイトルだけ見ると「グレート・ウォリアーズ/欲望の剣」みたいな映画にしか思えないが、一貫して「ちょっと変わったカップルのラブ・ストーリー」を撮り続けているトム・ティクヴァ監督ということで、当然この映画もラブ・ストーリーなんである。
 ヒロインが交通事故に逢い、息が出来なくなってしまったので、呼吸が可能になるよう、男がヒロインのクビに針で穴を開けるという、ああこりゃ「ラン・ローラ・ラン」が日本でもスマッシュ・ヒットした直後の作品だというのに、今まで未公開だったのもしょうがねえや、という衝撃的な出会いから始まるこの映画であるが、きっちり普通のラブ・ストーリーに仕上がってるのがすげぇと思った。まあ、「パフューム」でさえもラブ・ストーリーに仕上げた男だから、当然といえば当然だが。
 さらにもう一本トム・ティクヴァのデビュー作「マリアの受難」も一緒に見たんだが、こっちは延々とヒロインが夫と父親から酷い目に合わされる映画で、さすがにこりゃあラブ・ストーリーにならんだろ、と思ったらこれも最後にはきっちりラブ・ストーリーに仕上げてあって吹いた。