ドラえもん のび太の未来泥棒 3D (スティーヴン・F・アンダーソン) ★★★★

 そいで次の日、帰るまで少し時間があるんで渋谷に行って今日公開の「リトビネンコ事件」か「ベルセポリス」でも見ようか、もしくは「俺たちフィギュアスケーター」。でもどれもこれも多分めっちゃ混んでるよなー、という予想でやっぱり「ベオウルフ3D」だ!、ということに決定。確かバルト9(この名前絶対「カルトQ」のパロディだと思ってたら違うらしいな)でやってるはず、と向かったら「ベオウルフ3D」は14:40から!帰る時間に間に合わねぇ!(調べてから行け)ということで急遽同じく3Dだからという消極的な理由で「ルイスと未来泥棒」を選択。3D版は通常版の同時上映である「ミッキーの造船技師」ではなく、ドナルドダックシリーズの一品、"Working for Peanuts"が上映。これがすげぇ!なんつったって1953年の短編アニメが完全に3D作品として甦っているのだ。いや完全3Dは言い過ぎで、平面アニメが奥行きのある舞台作品になった、くらいなもんだが(それでもすげぇ)果たしてこんなことしていいのか、という疑問が無いではないものの、こんなこともできるんだという感動が余裕で上回った。本編の3D描写も多分「ベオウルフ」と比べればハッタリ度は薄めだと思うんだが、それでも内容も含めて大分感動してしまった。
 で、その内容であるが、そりゃあ手塚やったら次は藤子不二雄だよね、ということで全編に藤子Fテイストがみなぎる快作。異様にキャラが立ち過ぎなロビンソン一家(続編・スピンオフが作りやすいだろうなあ)といい、みなし子が主役ということで当然始まる「母親探し」の結末の付け方といい、ラストのメッセージの主といい(これはちょっと卑怯だな)、ことごとくツボにはまり、ここ10年以上に渡るディズニー本体迷走の歴史が嘘のよう。クレジットにジョン・ラセターの名前が入っているのは伊達じゃない、というか実際にちゃぶ台返しでかなり作り直させたらしいが、2007年は「魔法にかけられて」もヒットしたし(日本ではどうなんだろうか)、これからはディズニー本体とピクサーが切磋琢磨していくような関係になれるのかもしれぬ。


 ちなみに以下多少ネタバレ風味。


 この作品、本当に無理矢理ドラえもんに当てはめてみると、未来泥棒役は「セワシくんがドラえもんを送らなかった場合ののび太(つまり大ボスはジャイ子)」という、ある意味ドラえもんの根本を揺るがす設定になるのではないかと思ったがどうか。考えてるうちに、本当に見たくなったので最終長編は是非これで。