エレキコミック第17回発表会『了解。今むかってる。』 (エレキコミック) ★★★★

やついついでに。

2009年2月末に行われた現時点最新ライブのDVDであるが、見直したところ白眉はやはりタイトルにもなっているオープニングコント「了解。今むかってる。」である。
コントの内容は、「走れメロス」にてメロスとセリヌンティウスが携帯メールのやりとりをしていたら、というまあ特に目新しさのない設定ではあるんだが、その携帯メールの入力・変換の過程が舞台後方に映し出されるという趣向。
その入力過程動画がとにかくよく出来ていて、予測変換の単語、入力のスピード、変換のタイミング等あらゆる点でとにかく秀逸。「いい仕事」とはまさしくこういう動画のことである。
で、このコントであるが、私が思うに今年の「キング・オブ・コント」本選用に作られたのではないか。「キング・オブ・コント」といえば、史上まれに見る最低審査方法で各界の注目を浴びたコント番組であるが、中途半端に作りこまれたセットと衣装がそれ以上に酷かった。
「キング・オブ・コント」が最初発表された時、ラーメンズが出るのか出ないのか、と話題になった時もあったが、今考えればあんなセットを作られたらラーメンズの今まで積み上げてきた歴史が全否定である。本当に出なくて良かった。とにかく今時あんな観客の想像力を狭めるだけのセットをコントに使うなんてありえねー、と見慣れたバナナマンのコントを見ながら思ったもんだが、M-1との差別化という点でもゴールデンタイムのテレビという点でも作りこんだセットが必要だというなら、その状況からどのようなコントがもっとも効果的か考えれば、時代劇ということで衣装に力を入れる必然性があり、セットにもネタを仕込み(これも秀逸)、スクリーンも駆使するというこのコントのような形式になるのは必然であり、当然番組側も許容すべきである。
もし「キング・オブ・コント2009」本選にエレキコミックが出場して、このコントをやらなかったとしたら、制作陣のケツの穴が小さかったと思って間違いないであろう(多分)。