華氏911 (マイケル・ムーア) ★★★★

なんか、今日本では「この映画を手放しで褒めてる奴はアホ」みたいな雰囲気がちょっとあるので絶賛してみます。
とにかく、唯一無二の異常な映画。映画のほとんどは既存のニュース映像や資料映像、インタビュー映像の切り貼りが占めるアトミック・カフェスタイル。それにマイケル・ムーアのナレーション、音楽が被される。
…それだけの映画がこんなに面白いなんて異常だよ。2時間あっと言う間だった。
この映画を「既に知っている情報ばかりで退屈」って言ってる奴は「指輪物語」読んでるから「ロード・オブ・ザ・リング」が楽しめないと言ってるのと同じ。(違うか?)

ドキュメンタリーとしてうんぬんという批判もあるけど、だってさ、これ発端から普通のドキュメンタリーじゃないもの。
私の記憶が確かならば、この映画の製作が一般に発表されたのは「ボウリング・フォー・コロンバイン」のアカデミー賞受賞直後で、「ブッシュ一族とビン・ラディン一族の癒着を描いた映画を大統領選挙直前の9月11日に公開する」といったものだったはず。(細部は違うかも)
最初にこの話を聞いた時は正直これってどうよ、と思った。最初から「結論」と「目的」、それに「締め切り」までが決まってるドキュメンタリー映画なんて聞いたことないもの。
だから、それらの点についてこの映画を批判している是枝監督や森達也監督はとっても正しいと思う。(もし、森監督がこの映画を褒めたら、多分自分は森監督に幻滅していた)

…で、ここから10数行、http://www.videonews.com/(今までタダの時しか見てなかったけど、今回初めて金払ったぞ)とか、http://www.shakaihakun.com/data/extra.html華氏911批判について色々書いて見たけど、全部消した。つまんなかったし、結局そんなことはどうでもいいことだから。
一映画ファンとしてとにかく言いたいことは、この映画は目茶苦茶面白くて、さらに大統領選挙前の今、映画館で見るのが一番面白いってことだけ。日本でDVD出てからじゃ遅いよ。だからもし迷っていたら今すぐ映画館へ。お、今だけいいこと言ったな俺。

あと4つ星にしたのは、「イノセンス」からパルムを奪った恨み。半分冗談、半分本気。

追記
ジャン=リュック・ゴダール
「このブッシュ攻撃は敵を利するだけだ」

  • うん、分かった。でも、その言葉まずビン・ラディンに言え。つうか、政治活動の影響力が自分と比べて絶大なムーアにちょっと嫉妬してるだろ?