隠し剣 鬼の爪 (山田洋次) ★★★★

えー、皆さんと同じく自分も永瀬正敏が苦手なんですが、今回は結構良かったと思う。…良かったんじゃないかな。ま、ちょっと覚悟はしておけ。

物語の流れは、本当にほぼ「たそがれ清兵衛」と同じ。なので、必然的に目が行く細部が今回も素晴らしいです。
囲炉裏から出る火花のタイミング、ぶっ飛ぶ大砲、子役の女の子の足の汚さ、花びらの舞い方、えとせとらえとせとら。いい仕事してます。

殺陣は前作に比べると、確かに地味なんですが、これは今回「ラストサムライに対する返答」の如きモチーフが導入されたり、それこそ目玉が「隠し剣」な以上、しょうがないのかなと。

という訳で「隠し剣」なんですよ! これ「○○」じゃねえか、とおっしゃる人もいるようですが、甘い。山田洋次監督は、さらにその先を見据えているのです。
先日、山田洋次監督と脳内電波で交信したところ、その恐るべき野望が遂に明らかになりました。山田監督による、この時代劇シリーズの最終目標はなんとカムイ伝」の実写映画化。
昨今の漫画実写化ブームを全て総括するために、そして今まで小出しにして、飼いならしてきた左翼魂を爆発させるために、山田監督は「カムイ伝」の映画化に残りの人生を全てかけるおつもりなのです。
いや、本当に。でなきゃ手首ボーン、とかやらないって! なので、白土三平ファンは応援の意味をこめて劇場に行くべき。