鋼の錬金術師 シャンバラを征く者 (水島精二) ★★★1/2

とりあえず、原作10巻まで読んだので見に行ってきたよ。以下、ネタバレあり。




いやあ、予告編で多少分かっていたとはいえ、本当にパラレルワールド物になっててビックラこいた。ミュンヘンだってよ、ミュンヘン。すげぇなテレビ版。終盤見たいぞ。
他にもテレビ版を未見ということで、あのエドの抜け殻みたいな奴は誰だ(ラースだって)とか、師匠死んでる!(これは今回死んだらしい)とか、エンヴィがドラゴンになってるよ、とか色々驚いた訳ですが、映画自体はかなり楽しかった。
まあ、オープニングタイトルでバックに流れるダイジェスト映像にヒューズ死亡の場面が出ただけでウルウルきてる奴の言うことですけどね(それくらい、原作気に入った)。だもんで、こっち側の世界でヒューズ登場の場面で拍手喝采。そのヒューズが今回大した活躍をしないことは、多分あんまり評判良くないんだろうけど、この後のナチス台頭の歴史を考えると、この時点で彼が考えを改め行動を起こすことは、結果あちら側と同じ「死」という結果に繋がってしまうんで、せめてこっち側では生きていて欲しいと考える製作陣が、わざと彼を活躍させなかったのではないか、と考えるのはちょっとフォローし過ぎか。
他に、映画ファンにとって一番の大ネタはブラッドレイ大統領が、こちらの世界では「フリッツ・ラング」で、しかも「ニーベルンゲン」撮影中というやつ。最初に「マブゼ」って名乗るし。撮影に使ってる「ドラゴン」がリアルじゃないから本物見てみたかったぜ、っていうドイツ表現主義よいずこ、なところも笑った。

全体としては、実在の歴史を絡めたストーリーの野心度と、通常劇場版に求められるオールスター映画的な部分をどっちも追ってしまった結果、尺が足りずにどっちも中途半端に終わった感は、まあ否めないと思うんだけど、間違いなく力作ではあると思う。大いに満足した。続編はあるのかなー。