アイランド (マイケル・ベイ) ★★★

感動した。

あまりに感動したので、これから下はネタバレ感想。未見の人はすぐ見に行くことをお薦め。



















つまり、この映画は「THX-1138的未来管理社会」という、今までのマイケル・ベイからは思いもよらない高尚な題材からスタートして、その意匠を次々と剥がすことにより、

・ヘリがとにかくバンバン飛ぶ
・カメラがグルグル回り過ぎ
・無駄に激しいカーチェイス
・突っ込みどころ満載(当然ながら、マイケル・ベイは映画ファンの楽しみの為、わざと突っ込みどころを作っている)

等、いつもの「マイケル・ベイ映画」の地平(というか地べた)に到達する、という「俺はいかなる設定・物語であろうとも、俺映画にすることができるぜ」というマイケル・ベイの勝利宣言なのである。
正直、「クローン」というある種、倫理的にも難しい題材を扱ってなお、そして師ジェリー・ブラッカイマーの元を離れても、ここまで見事に俺映画を作ってしまう才能がマイケル・ベイにあるとは思わなかった。自分が彼の才能を過小評価していたことを、ここにお詫びして報告しておきたい。
彼なら「フィネガンズ・ウェイク」であろうが、「アブサロム、アブサロム!」であろうが、映画化すれば必ず「マイケル・ベイ映画」にするはずだ。いやあ、今から「トランスフォーマー」が楽しみ。

もちろん、三ツ星ということは不満もあって、一番は「空飛ぶバイク」等の中途半端に残った未来の意匠。
マイケル・ベイ本人も常々言ってるとおり、CGばっかのカーチェイスなんてつまんないのであって、その前段の車ぶっこわしまくりカーチェイスと面白さが雲泥の差。
近未来という設定はクローン技術のエクスキューズとしてのみ必要だったんだから、むしろその他は全て現代と同じ風景でよかったのに(その方が前半との落差が大きくて面白い訳だし)
あ、キャストだと普段はキモくて嫌いなスカーレット・ヨハンソンが、そのキモさがクローンぽくて結構良かったね。あと、短期間での教育ってやっぱりいまだに「ルドヴィコ治療」なのな。こういう時って「盲目のヒーロー」誕生の必然性があるなぁ、とふと思ったり。