この胸いっぱいの愛を (塩田明彦) ★★

 誰が見ても「タイタニック」を思い起こさせるシーンが終盤に登場。そうか「黄泉がえり」と「この胸いっぱいの愛を」は「ロスト・イン・アメリカ」での「『タイタニック』は失敗したメロドラマだ」という発言の「実践篇」だったのだな、となんとなく納得。
 で、今回の対タイタニックガチンコ勝負、どっちが勝った?と聞かれれば、やっぱり自分は「タイタニック」と答えざるを得ない。まあ、俺タイタニック大好きだけど。
 塩田監督のお仕事モードとはいえ、「黄泉がえり」がヒットしたから同じ原作者と監督で、という企画の安易さといい、残念ながらこの映画ではひとっつも感動できねっす。
 でも、毎度の事ながら子役の演技はよかったね。


 (追記)
 あ、パンフに問題のシーンを入れるかどうか迷ったという話があるらしい。塩田監督は削りたかったが、プロデューサーが押し切って入れたとか。いや、正直入れてよかったよ。無かったら凄くつらい話だもの、これ。そこ以外にも登場人物の決断で、誰もが手放しに納得できる訳ではない、かなり倫理的に綱渡りな部分があるし。さっき塩田監督の「お仕事モード」って書いたけど、こういう部分で中途半端に普段の塩田節が出てるみたいで、その分商品として「黄泉がえり」以下になっちゃたなー、と思う。