レインボーマン M作戦編 (原作:川内康範) ★★★★★

 ブクオフで安く買えたんで、とうとう見ることが出来た。というのも、今までこの「M作戦」が描かれるのは数話だけで、その数話の為に12000円はきついなあ、と思い込んでいたから。
 実際見たら、この「M作戦」ってワンクール13話丸々使った大長編なんだな。こりゃあ、ビックリした。いわゆる特撮物のお約束の構成(敵出現→変身→必殺技→終わり、みたいな)も全く無くて、完全な連続ドラマ。本物と見分けがつかないニセ札を大量に製造しようとする発端から、おたふく教という新興宗教を立ち上げ、その宗教を通じニセ札を市場に流す過程がこれでもかこれでもか、と丹念に描かれる評判以上の本気ぶりに驚愕。
 どれだけ本気かというと、中盤で敵(「死ね死ね団」ね)のニセ札工場が爆破され(実はレインボーマンが爆破した訳ではない)、普通の番組ならこれでハッピーエンドとなる所を、ニセ札ばら撒きによるハイパーインフレはもう始まっており、既に時遅しと敵の首領ミスターKが始める演説が凄すぎる。

 各ゲリラ部隊に命令して、飢えた奴等を戦わせろ! 暴動でも焼き討ちでも全て集団化させて、日本中を暴動の渦に巻き込ませろ!
 レインボーマンめ、きさまがいかにジタバタしてもたった一人で日本人一億の飢えを満たすことはできないのだ。ざまあみろ!

 この宣言の通り、

 日本中に溢れかえった死ね死ね団のニセ札は、お金そのものの信用をゼロに引き下げ、物資の生産・流通をストップさせた。
 そのため、物価は100倍・200倍にも跳ね上がり、正直な人が飢えに苦しみ、一家心中事件は毎日のように続いて起こるありさまとなった。

 というナレーションが続き、飢えた母子に食料を分け与えてあげた男が、その光景を見られ「俺にもよこせ」と母子ともども集団暴行されてしまう、まさに地獄の様な光景が繰り広げられる。当然、そこにレインボーマンが割って入るのだが、警察にしょっ引かれた男は、

 何しやがんでえ、おまわりさんよお。ついでに女房・子供も呼んでくれよ! くせえ飯だって、一家心中することはねえからな!

 と、捨てゼリフを吐く。そんな状態で何ができる? レインボーマンは考えた結果、政府に一般市民への食料無償配布を直訴するのだ。何だこれ。
 この本筋以外にも、この作品の本気ぶりは端々に現れていて、途中すんごく可愛い幼女が出てきて(正直惚れた)、レインボーマンもその幼女を守るため命がけで戦うんだけど、実は敵の幹部が化けた姿だったり。レインボーマンもショックだけど、俺もショックだ。
 セリフも、
「必ず奴めをドロドロにとろけさせ、一番いい骨を一本おみやげに持ち帰ります」
「お前は天国で私の奴隷になるのよ!」
等、一度聞いたら忘れられない本気度満点のセリフ多数で、「死ね死ね団」という名前も、無理矢理子供向けにする為のフィルターじゃなくて、本気のテロリスト集団ってのはこういうふざけた名前を付けるべきなんじゃないか、とすら思わせる程凄い作品なんで、機会があったら絶対見るべき。

愛の戦士レインボーマン M作戦編 [DVD]

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