輪廻 (清水崇) ★★★★

 伊丹十三が死後輪廻転生した姿として、女子学生相手に夜な夜な「恥ずかし実験」を繰り返す変態大学教授黒沢清を描いたにっかつロマンポルノお蔵入り映画を一瀬Pの豪腕でJホラーシアターに組み込んだ異色作、というのはもう500人位書いてるな、多分。
 それにしても「予言」での高橋洋といい、これからこのJホラーシアターを撮る監督二人が共に「世界の原理」を語っているのは面白い。原理を語る存在となった二人の映画では誰が原理を語るのか、いやそもそも原理が語られるのか、存在するのか。メジャー作でも高橋洋はあのまんまなのか。高橋洋は自作自演するのが一番怖いんじゃないのか。そもそも6作目まで本当にバトンが渡るのか。一瀬Pはいざとなったら高橋洋を跳ばすんじゃないのか。よく考えたらこのシリーズ、全部漢字二文字なんだから、あの脚本:高橋洋、監督:黒沢清による幻の企画「水虎」が撮られるという可能性はないのだろうか。等々このシリーズに関しては色々妄想が尽きませんね。
 「輪廻」の話をすっかり忘れていましたが、イイ。かなりイイ。ホテルのロケーションがいい。佐々木麻緒ちゃん相変わらずかわいい。優香の演技が意外といい。あの変な歌すら聞きなれるとなんかいい。「ノロイ」で何で松本まりかは死なないの?という疑問がここで氷解するのがいい(←誤解です)。過去の惨劇の記憶、その惨劇の最中に撮影されたフィルム、その惨劇を元にした映画の撮影現場、そしてその映画の撮影フィルム、と様々なレイヤーの映像を縦横無尽に駆使してかなりトリッキーに構成されたこの映画ならハリウッド版「呪怨」を徹底的にクサしてた親指大将ロジャー・エバートも清水監督に一目おくことでしょう。とにかく清水監督はまだまだ色々いけるでぇ、ということが十二分に分かったので寄生獣」を撮ってもOK。俺が許す。頑張れ。