スタンドアップ (ニキ・カーロ) ★★★

 「全米で最初にセクシャルハラスメント訴訟に勝った実在の女性をモデルに映画化した感動ドラマ」という、いかにもな賞狙い映画だけれどかなりの力作。
 シャーリーズ・セロン始め、フランシス・マクドーマンドショーン・ビーンウディ・ハレルソンシシー・スペイセク等出演陣もやけに豪華でみんないい演技してるし、男でも見ていて頭がクラクラするセクハラシーンの連続はする方もされる方も大変だったろうなーと素直に感心。特に一番の見せ場となる、シャーリーズ・セロンが組合集会へ一人乗り込みスピーチする場面には心底感動した。
 が、「あーいい映画みたな」と油断した直後、クライマックスとなる法廷シーンの陳腐さに愕然。それまでセクハラの大元となっていた男が追求されて改心しちゃうんだけど、どう見ても大した追求じゃないんだなこれが。この法廷シーン、冒頭から少しずつ小出しになっていた部分は結構良いため過度に期待をし過ぎたのがいけなかったのか、とにかく俺にとってそれまでリアルに積み重ねてきた鉱山労働の現状、醜悪な嫌がらせの数々を全て台無しにした、といっていいほど他のシーンとのレベルが違いすぎ。男が改心後、それまでに勝利条件として提示されていた「集団訴訟」を起こすため、他の被害者が邦題の通り「スタンドアップ」するんだが、まあ被害者及び関係者全員が残らず裁判に立ち会っているご都合主義はまあ良いとしよう(事実はどうあれ、何人かはその時鉱山で働いてた方が良いんじゃないかなと思ったが)。が、その時被害者の従業員以外の人もみんな立ち上がっちゃう安っぽい演出はどうよ、と。そもそもここで争われている裁判の焦点が鉱山であったセクハラの事実と全く関係無いという時点で買っても負けてもこの裁判は悲劇的なはずなんだが、変に甘いシーンになったせいでこの点がすっかり見えにくくなっちゃったと思うのは気のせいか。悲劇的といえばこの主人公が「初めて訴訟に勝った女性」ということは、劇中に出てくる主人公が訴訟を起こすきっかけにもなった裁判中の黒人女性は負けたってことだよな。
 という訳で終盤のショックがかなりでかかったので、★★★★→★★1/2と大幅減に。が、シャリーズ・セロンの娘カレン役のエル・ピーターソンちゃんがやたら可愛いので三ツ星となりました。


(追記)法廷シーンに厳しいのは最近「ロー&オーダー」を見てるせいかも。凄いよこのドラマ。セカンドシーズンも早く日本で出ないかな。