単騎、千里を走る。 (チャン・イーモウ) ★★1/2

♪誰にも内緒でー お出かけなのよー

 見ている最中BBクイーンズの例の曲が頭で鳴りまくり。つまりこの映画は健さんの「はじめてのおつかい」である。
 末期癌の息子の為に中国全土をおつかいしまくる健さんに、自分の一番好きな高倉健の役柄のその後を重ねて、「不器用な健さんはちゃんとおつかいできるのかしら…」「健さんそっちいっちゃダメ!」「健さんもう意固地にならないで!」など身もだえしながらスクリーンを眺めるのが正しい見方なんだろうけど、俺って健さんの映画あんまり見たことないからなあ。(一番好きな健さんの映画は、と聞かれれば「飢餓海峡」…て答えてしまいそう) そういう健さん初心者には正直きつい「健さんアイドル映画」。
 同じくチャン・イーモウのアイドル映画である「初恋のきた道」では「俺がこいつ(チャン・ツィイー)をスターにして見せる」という覚悟が伝わってきたけど、今作では正直「健さんと一緒に映画が作れて幸せ」以上の物は全く感じられない。
 降旗康男木村大作コンビによって撮られた日本篇も(エンド・クレジットを見てビックリした)中国篇と並べると違和感ありまくりで萎え。せめて健さんがもう少し携帯電話・通訳に頼らないクライマックスが用意されてれば…
 まあ、そんな出来なのに全国公開だからしょうがないといえばしょうがないけど、この映画、単騎で見ましたよ。いや、いままでも幾度と無く映画館で一人きりという経験はあったけれど、正直公開初日では初めてだよ、さすがに。