プロデューサーズ (スーザン・ストローマン) ★★★★

製作・オリジナル脚本・脚色・全曲作詞作曲・カメオ出演メル・ブルックス


 コテコテのアメリカン・コメディ。そしてミュージカル。
 この日本人の2大天敵が合体した今作は、当然ながら濃すぎて客を選ぶ。実際、あの元から濃いウィル・フェレルが精一杯濃い演技をしていても特別目立たない位どいつもこいつも元が舞台劇ならではの濃い演技しまくり。元の映画版を知ってる人はご存知の通りネタも濃いので、当然選ばれないものにとっては拷問の130分。(実際、開始10分から最後までいびきをかいて寝てたオヤジがいて、俺がもしポッキー持ってたら鼻の穴に刺してた)が、選ばれた者にとっては、序盤がちょっとキツイものの本当に最後の最後まで楽しい至福の130分になること請け合い。
 いや、正直にいうと今回の「プロデューサーズ」は舞台版の大ヒットを受けての凱旋公演見たいなもんで、スタッフ・キャスト共ほとんど舞台版と同じという「傑作舞台の記録」としての側面が強くて、映画としての完成度はあんまり高くない。だから、面白いとは思ってもそれ以上に「実際の舞台はもっと面白い」というのが嫌と言うほど伝わってきてしまうのが玉に瑕。舞台に比べて時間の制限が厳しいせいか、削られている箇所も結構あるらしいし。
 が、目玉の「映画内舞台」は最高で後30分はそのまま見ていたい位素晴らしいし、何よりメル・ブルックスのミュージカル好きはファンなら当然承知な事なので(ベストはやっぱり「珍説世界史」の宗教裁判か。このDVDが千円で買えるなんてニッポン人幸せよ)ミュージカル化の大成功を受けて本作が作られたことは、自身の監督作ではないものの「レスリー・ニールセンのドラキュラ」が遺作と言われることはもう無くなった、とファンとして一安心である。気に入った方は、エンドロールが終わった後にもう一曲あるので是非お楽しみに。
 あ、あの方のムリヤリダジャレ字幕も本作には結構あってたと思うぞ。