復讐 THE REVENGE 消えない傷痕 (黒沢清) ★★★★

 DVDが出たので数年振りに再見。特典はやっぱり無かった(クソ)。
 以前見た時、冒頭の長回しに使われる音楽がちょっと?だなー、と思っていたんだが再見してその謎が判明したのでご報告。
 見たことがある方はご承知の通り、銃を持ち覆面を被った強盗団3人が港の小屋を襲い荷物を強奪して車に乗り込むまでの一部始終がワンカットで撮られているこのシーン、登場人物にセリフは一切無く、アクションも必要最低限。撃たれて死ぬ者もほとんどリアクション無しで画面からどんどん消えていく。カメラはロングショットでズームは一切無し。動きはちょっと無骨なパンのみ。
 恥ずかしながらやっと分かったんだけれど、黒沢清の意図は間違いなく「テレビゲーム」だ。それも遥か昔の「ムービー? 何それ」って時代のゲームのイベントシーン。画面の中で同じ大きさのキャラがチョコマカ動き回って、死んだキャラはイベントが終わると画面から消えちゃう、そんな昔懐かしいゲーム。そう、ちょっと無骨なパンは画面の「スクロール」であり、つまりこの音楽は「ゲームミュージック」だったのだ!(本気)
 間違い無く黒沢清は音楽発注時に「このシーンはファミコンです」「初代ファミコンですので、PSG音源風にして下さい」とリクエストしていた(はず)。清のゲーマーぶりを知っている人なら多分納得して貰えると思うんだが、意外とゲーマー清を通して語られる清映画って無いみたいなので、勢いで書いてみた。だって清の好きな「長回し」って近年では「オールド・ボーイ」の例もあるように、もの凄くゲーム的なんだし(「昔の」という但書が付くかもしれんが。ただ、そうなら近年清がゲームについて語った覚えがないことと符合はする。)、意外とつっこみどころはたくさんありそうなんだけどなあ。それとも俺が知らないだけか?