釣りバカ日誌17 あとは能都なれ ハマとなれ! (朝原雄三) ★★★*1

 朝6時に出かけて見に行ってきたぞ<「釣りバカ日誌」バカ
 もともと、「濃い山田洋次(「学校」とか)」が苦手な自分にとって山田洋次が書いている「釣りバカ」の脚本は、一番嫌いな「泣き」の要素がほとんど無いし、「ほどよい左翼魂」や「ほどよい馬鹿シリーズ*1魂(「バカ」がカタカナなので薄口)」がそこはかと感じられる「薄口山田洋次」として結構好きで、シリーズ全体の3分の2は見てる。今回もなかなか楽しめて及第点。
 今回の話の主軸はゲストである石田ゆり子大泉洋の恋の行方で、2人の結婚に反対する石田ゆり子の兄役に片岡鶴太郎。このシリーズは特に近年顕著なんだが、ゲストの役が完全にあてがきで書かれていて(前回の尾崎紀世彦ボビー・オロゴンも良かった)今回の役柄も石田ゆり子の「夫のDVが原因でバツイチ」、片岡鶴太郎の「頑固な輪島塗職人」とかなり的確。特に「美術講師」役の大泉洋においては、無駄に小器用な所を利用した作品作りのシーンや、石田ゆり子に酒の力を借りて告白しに来るシーン、自分から「(鶴太郎に)結婚の挨拶に行こう!」と言っておきながら、当日酒を飲まずにいられずべろんべろんに酔っ払いながら軽口叩いて鶴太郎に追い返されるシーン等、ビックリする程的を射た使い方ばかりで、山田洋次「どうでしょう」見ながらこの役書いたんじゃないか、と思ったくらい感心。よーし、後の楽しみはメインの西田敏行三國連太郎とのカラミだぜ!(ここまで一シーンもカラミ無し)と興奮していると、能都の祭りでばったり4人が出会い、そこに鶴太郎の娘が「お父ちゃんが、二人のこと許すから一緒に食事しようって!」とやってくる。「あ、浜崎さんも来て下さい!」
 おお、これは当然この後の食事シーンで、飲みすぎて調子に乗った西田敏行がスッポンポンになりハラ踊りをかますと、どうでしょうマニアの山田洋次なら(おい)それを受けて当然、俺も負けじと裸になった大泉洋が「どすこーい、どすこーい」と敏行のハラに突き押し連打。抵抗してきた敏行を勢いにまかせて巴投げ。敏行が突っ込んだ鍋がひっくり返り、熱いおでんが鶴太郎にばっちゃーん。「あついあつい」の全身やけどでエンディングという按配だな!と一人興奮していると、なんとビックリ。「食事にしよう!」の次のカットでもう次の日の朝になってやがる…
 という訳で大泉洋西田敏行三國連太郎とのカラミはたった「1カット(マジ)」、しかも三國連太郎とはセリフも交わしてないという、大泉ファンとしてははなはだ残念な結果になってしまったのだが、これは多分、実際は↑のシーンを撮ったものの、修羅場になったためお蔵入りということだと思われる。DVD発売の際は是非こっそり復活させて頂きたい。
 なお、ラストシーンは「鈴木則文/エンタテインメントの極意」が開催されていた、金沢21世紀美術館の前で撮られてた(行きたかったんだよー)。

*1:「馬鹿まるだし」「いいかげん馬鹿」「馬鹿が戦車でやって来る」の三作。全部見よう。