ブラック・ダリア (ブライアン・デ・パルマ) ★★★

 我らが巨匠ブライアン・デ・パルマといえば、 自分の趣味全開のマイナー作品はもちろん、「ミッション:インポッシブル」や「アンタッチャブル」といったメジャー作品でも、画面からある種のチープさがほとばしってしまう事で有名な訳だが、今回ジェームズ・エルロイの原作に真正面から挑んだ本作でさえも、結果「殺しのドレス2」や「レイジング・ケイン2」といっても過言ではない作品に仕上がっているのは、さすがとしか言いようがない。今までついてきて良かった。
 ミア・カーシュナー以外ミスキャストという意見を良く目にするものの、全てはこの「デパルマン」の刻印の為であり、ヒラリー・スワンクの安っぽさはその最たるものでまことにパーフェクトな配役だと思う。まあ、何にせよこの映画は「ボクシング」と「八百長」から始まるあまりにも正しいフィルム・ノワールなので、その正しさを求める人が現在どれだけいるのか、といった点を度外視すれば間違い無く一見の価値は有り。