犬神家の一族 (市川崑) ★★★

 オリジナル公開から30年の月日を経て、同一監督・同一主演にて撮られるリメイク作品ときたら、映画ファンとしては前回作品との徹底比較や、ミステリというネタバレスポイル要素の強いジャンルをリメイクすることの意義について徹底的に語るのが筋だろう、と旧作のDVDコレクターズ・エディションも買ったことだし、一度見直してから劇場に望むべしと思った時に、はたと犯人が誰だか思い出せないことに気付く。もちろん、旧作は見たことがあるし、結構重度な本格ミステリファンだったこともあるので、原作ももちろん読んでるんだがキャストの表を見ても全く思い付かない。
 せっかくなんで、このまま忘れたまま見に行った方が楽しめるよな、と気を取り直して劇場に直行。映画が開始してしばらく経過後、「ああ、こいつだった犯人」と無事思い出してほっと一安心。が、最後まで見たらその記憶大間違い。俺の記憶力やば過ぎ。そういえば、「獄門島」も「本陣殺人事件」もトリックは大体覚えていても犯人が誰だかなんて全く覚えてない。「Yの悲劇」はさすがに覚えてるけど「Xの悲劇」はダメだ。そういえば「ドルリー・レーン最後の事件」って2回目読んだ時には犯人覚えてなかったな(これはひどい)。もちろん「黒死館殺人事件」なんかどんな事件だったかすら思い出せない。いやあ、前から「本格物は一回読んだらもう終わりだからツマラン」みたいな話に必死に「ちがうよ!」と反論しようとしてたんだが、単に俺が「忘却能力」に優れていたからだとわかりましたよ!これもある種の才能ですな。
 という按配なんで、ある意味初見の人よりビックリで面白かったっすよ。以下箇条書き。
三谷幸喜出演シーンはさすがにコントにしか見えなかった
・意外と仲代達也もメイクがコントみたいだった
・スケキヨのマスクが阿部サダヲに見えて困った
・「佐清」でスケキヨということは「佐助」でスケスケだなと思った
 こんなとこでしょうか。