ドリームガールズ (ビル・コンドン) ★★★★

 みんながみんなジェニファー・ハドソンをベタ褒めで、ビヨンセの評判が大変よろしくない訳ですが、映画を見て納得。
 このビヨンセ演じるダイアナ・ロス(風)役ってどう考えても外れ役じゃないですか。ビル・コンドンが以前に脚色した「シカゴ」と同じく「ザッツ・ショウビジネス」を描くこの映画の中で最も「ショウビジネス」な部分が描かれないこのディナ役は(なまじダイアナ・ロスが元なだけに描けないと思われる)、結果大した努力も葛藤もせずにあれよあれよという間にスターになってしまった只の幸運な女性にしか見えない捨て役。せいぜい「狂言回し」。それこそ劇中で出演を拒否しようとしていた「クレオパトラ」での16歳の少女のような役回りとも言えて、中々ある意味面白いキャスティングではあるけど、ビル・コンドンの映画でこんな屈託の無い(後半に取って付けた様なレベルならある)役が目立つ訳は無いよなあそりゃ。この役を選んだ時点で負けです。ご愁傷様。
 ミュージカルとしては、まあ自分はアステア、ジーン・ケリーや「掠奪された七人の花嫁」が好きな結構オールドファッションな人なんで、大したダンスが無い(この映画のミュージカルシーンはほぼ全てステージシーン)のはガッカリなものの、確かにジェニファー・ハドソンを始めとする歌のパワーにはかなり圧倒されてきましたよ。これは映画館じゃないと味わえないですな、本当に。
 一つ謎だったのがジョン・リスゴー演じる映画監督で、説明していた話の筋からいくと映画は「ビリー・ホリディ物語」で、つまりシドニー・J・フューリーなのかなと思ったんだけど、allcinema online*1によると「ビリー・ホリディ物語」はベリー・ゴーディジェイミー・フォックス演じる社長の元ネタ)が主演させた役、と書いてあるのでまあフィクションだから当然なんですが映画と逆になってました。あ、でもハッピーエンドにさせたのがベリー・ゴーディなのか? まあ大して詳しくないんでもういいや。