市川崑物語 (岩井俊二) ★★★

 和田夏十が奥さんのペンネームだということを、この映画を見て初めて知ったくらい(確かによくこの名前がクレジットされてるなあ、とは思ってた)、市川崑監督にほとんど思い入れの無い自分にも大変面白かった。「立喰師列伝」みたいだし。
 まあ知ってはいても驚くのがやっぱり監督の多作ぶりで、一応全部で20本位は見ているものの、それでもどんどんスクリーンに現れる映画のタイトルのうち、半分くらいは全然知らない映画ばかりで、ああこんなに本数が多いと「市川崑」をコンプリートするぜ!という気になかなかなれないのもしょうがないよなあ、と思ったり(そう考えると黒澤明の三十本ってちょうどいいな)。ちょっとだけ見られる市川崑監督の初期アニメが去年DVDを買った政岡憲三の「くもとちゅうりっぷ*1」みたいな典型的な戦前・戦中アニメで、どうも自分はこの手のアニメが大好きなのでこれだけでも見てよかった、と思いますた。
 何にせよ市川崑監督が「僕のオリジナル」とまで言い切るなら、オリジナルの半分、いや3分の1のペースでもいいんであんたは映画をもっと撮れよ、とほとんどの人が突っ込み入れたと思うんで、本当そうして下さい。そういっても「僕には和田夏十がいない」とか言い訳できそうだけど。

*1:買うまで「くまもとちゅうりっぷ」だと思ってた