パリ、ジュテーム (山ほど) ★★★

 パリでジュテーム、ジュテーム言ってるだけの映画だったらどうしよう、と思ったけれど意外とそうでもなかった。
 オリヴィエ・アサイヤス(★★1/2)、トム・ティクヴァ(★★★)、アレクサンダー・ペイン(★★★)のお三方は良くも悪くもいつも通りの作風で後者二人は舞台がフランスになっただけ、といった感じ。アサイヤスは、そんなに海外から女優を呼んでよろしくやりたいのか、とちょっとあきれつつもそのたゆまぬ努力にちょっと感心する。
 コーエン兄弟(★★★1/2)は久々のブシェミ出演ということで、それだけでも嬉しい。そもそもコーエン兄弟の悲劇は「未来は今」が大コケしたことだけじゃなくて、その後「ファーゴ」がなまじヒットしちゃったことだと思うんだけどこれは長くなりそうなんでやめる。
 ヴィンチェンゾ・ナタリ(★★★)はウェス・クレイヴンのお株を奪う○○○物なんだけど、エンド・クレジットを見たらクレイヴンが出演していたことを知りたまげる。で、そのウェス・クレイヴン(★★★)編には、ある有名人物が登場するんだが、その役を演じているのが一見ジェイソン・シュワルツマンだったので、嫌いな役者じゃないんだがこういう使い方は嫌いだと言ってるだろう、と一人プンプンしていたところ、後でジェイソン・シュワルツマンじゃない事に気付く。で、結局それは誰だったかというと、エンド・クレジットを見たらアレクサンダー・ペインだったので非常にたまげる。
 日本代表、諏訪敦彦(★★★)編では、ジュリエット・ビノシュが出てきたので「すげー。豪華」と思ったらその後、もう一人豪華ゲストが出てきてたまげる。ガス・ヴァン・サント(★★★)は、ちょっと本気で声を出して笑いそうになる。クリストファー・ドイル(★★★★)は本当に好き放題やっていて、やっぱりこういうオムニバスはやったもん勝ちだな!と思う。アルフォンソ・キュアロン(★★)は「いつ爆破が起こるのか?」と手に汗握るが結局起きないのでガッカリ(当たり前)。
 ジーナ・ローランズ、ベン・ギャザラ共演のフレデリック・オービュルタン、ジェラール・ドパルデュー(★★★★)編はジーナ・ローランズによる脚本で地味ながら大変素晴らしい出来。ドパルデューもちょっと出る。が、監督の片割れであるフレデリック・オービュルタンて人を全然知らなかったので。ただいま調べたところ、「HAKUGEKI 迫撃」というセガール主演としか思えない(実際はドパルデュー出演)邦題の映画を監督していたことを知りたまげる。
 で、このオムニバス映画一番の目玉といえば、当然「ベルヴィル・ランデブー」「老婦人とハト」のシルヴァン・ショメ(★★★★★)。いや、正直本当にシルヴァン・ショメが監督してるって全く知らなかったので、★一個位はあまりにビックリしたせいかもしれないんだが、素晴らしいパントマイムを扱ったパントマイム映画史に残る名品。これ一本で1800円の価値が…とまでは言わないが1000円位ならあるぞ。
 全編終了後、そういえばこの作品に押井守が参加するって話もあったよなあ、と思っていたらエンドクレジットに"Mamoru Oshii"の名前が!だが、いかんせんその直前を見逃していたので、何のクレジットかは分からずじまい。終わる直前だったので、多分スペシャルサンクスかなあ、とも思うんだがその後ウディ・アレンやらなんやらの名前も出てきていたので「頼んだけど断られた監督」かもしれない。そんな訳ないか。