コワイ女 ★★★

・カタカタ (雨宮慶太) ★★★1/2
 前知識無しでも一目で「雨宮慶太」と分かってしまう字体のタイトルで始まる、かなり直球な座敷女ホラー。この作品の座敷女こと「カタカタ」を演じる女性がなかなか頑張っていて、とても幸せな気持ちに。コメンタリーでカタカタが出る度に雨宮監督が「ここは何もいじってません。素です」と説明するのもまた微笑まし。このカタカタ役の女優さんはやっぱりというか、暗黒舞踏関係の人とのこと。終盤、これみよがしに「これは特撮です」と自己主張した映像が頻出するのは、最初から雨宮慶太作品だと思っていれば大して気にならじ。


・鋼-はがね- (鈴木卓爾) ★★★★
 ある意味、近年のホラー映画界でも最強キャラといっていい「鋼」を排出した本作。今まで良く分からなかった「萌え」とは結局のところこれのことだな、と開眼したので「鋼たん萌え萌え」と書いておこう。
 コメンタリーに何故か本作には関わってないはずの盟友、矢口史靖監督が参加していて、もうこのコンビコメンタリーは「パルコ・フィクション」を最後に無いのだろうな、と思っていた自分は嬉しい悲鳴。内容は「鋼たん」のオーディションは袋を被った状態で入室して貰ったという話や、その延々袋を被った人が登場するオーディションビデオを矢口監督が見せられた話など、心温まるエピソードが満載で、途中、矢口監督が「鋼たん(とは言ってない)って黒沢清監督の『危ない話』に出てた奴に似てるよね」という話になり、その「危ない話」の短編こと「奴らは今夜もやってきた」に鈴木卓爾監督が美術助手として参加していたという話や、この脚本の元は映画美学校の課題として提出された物だから、黒沢監督も読んでいるはず、という話、おまけにこの「鋼たん」をフューチャーした特典映像「鋼ちゃん」(特典ディスク収録。レンタルなので未見)を監督した井口昇監督とお二人が学生時代に撮った映画(井口監督は痩せていたとのこと)がまだ未完成だという話等、日本映画界の狭さを実感できるエピソード満載なので、このコメンタリーはDVDで見た方は必聴。あと、二人ともゲームの「サイレン」が大好き、という話をしてるんだけど、今公式ページを見たら一話の「カタカタ」役の女優さんが「サイレン」モーションキャプチャーをしていたということも判明。何だかなあ。
 「鋼たん」以外では、(というか3人しか登場人物がいない)柄本佑香川照之も良かったんだけど、役者:鈴木卓爾のファンでもある自分は香川照之の役は監督本人がやっても良かったんじゃないか、とも思ったり。


・うけつぐもの (豊島圭介) ★★
 とくになし(ひどいなあ)。