昼下りの情事 (ビリー・ワイルダー) ★★★★

 以前見たときには★★★程度でワイルダー作品の中ではあんまり好きじゃないと思っていたのに、先日見直したところ、お前は何を見ていたんだ、と言いたいくらい感動してしまった。
 何に感動したかといえばオードリー・ヘップバーンの父親役であるモーリス・シュヴァリエにであって、ラスト寸前に列車を見送るカットは全く記憶になかったこともあって完全にやられた。終盤、真実を知ってからのシュヴァリエの一連の行動は、今だとリアリティ無さ杉とでも言われそうなんだけど、ルビッチの「メリィ・ウィドウ」とかで分かる通り、この映画のゲイリー・クーパーは昔のシュヴァリエだったと言ってもいい訳で、二人にかつての自分と嫁さんを重ねたのだと考えれば素直に納得できるはず、とも言えるけどそれでもつらい選択だよなあ。ああ、なんでこんなに俺は親父に感情移入してるんですかね。それにしても絶妙な素晴らしいキャスティングだなあ。