パンズ・ラビリンス (ギレルモ・デル・トロ) ★★★★1/2

 エロくない。
 まあアメリカでボロクソだった「ローズ・イン・タイドランド」と違ってオスカー取っちゃうくらい一般受けしたんだからエロくないのは当然なんだが、それにしても少女が主人公の血みどろファンタジー映画としてこのエロスの希薄さは異常。これは単にジョデルたんと比べてこの映画の主人公を演じるイバナ・バケロたんがあんまり好みじゃない、といった個人的事情を抜きにしても明白な事実で、多分デル・トロの資質によるところが大きいと思われるんだが、その意味でもこの映画は少女の内面のファンタジーと現実のスペイン内戦という区切りで捕らえるべきじゃなくて、どちらも含めてデル・トロの抱えるファンタジーなのだ、…て、なんか当たり前のこと言ってるか俺は。
 結果、映画はエロスなき世界でのタナトスの暴走、とでもいうべき陰々滅々とした描写が延々と続く、非常に素晴らしい仕上がりなんだけど、やっぱりなんでアメリカで大受けしたかは分からん。