スターダスト (マシュー・ヴォーン) ★★★★

 去る11月3日文化の日、朝から映画館に向かった私は2回目の「スターダスト」を見るか、はたまたあらゆる意味で問題作と噂の「恋空」を見るか決めかねていた。やはり自身の見聞を広げる為にも「恋空」を見るべきではないか、と長蛇のチケット売り場へ並びながら決心しかけたところ、早々と「恋空」のSOLD OUT!が売り場上部の画面に表示され*1、何の心置きもなく「スターダスト」2回目を見ることとなった。
 いややっぱり面白い。マシュー・ヴォーンといえば盟友だったガイ・リッチーがマドンナとの結婚等を経てあっちの世界の住人となったため彼と袂を分けた後、ニール・ゲイマンの今のところ唯一の監督作である"A Short Film About John Bolton*2"をプロデュース。「レイヤー・ケーキ」で自身も監督デビューを果たし大好評。その後スーパーモデルのクローディア・シファーと結婚し、オファーされた「X-MEN3」の監督をドタキャン。そして念願であるニール・ゲイマン原作の本作を監督し、次回作はアメコミ「マイティ・ソー」の映画化、ともう書くだけでムカムカする位、順風満帆な人生を送っているわけだが、そんな男がお送りする「ロード・オブ・ザ・リング」以降、雨後の筍の如く表れた重厚長大(風味)ファンタジー映画群に対する、お前らファンタジーなんだからもっと楽しめよ・お気楽にやろうぜ的アンチテーゼ含みなライトファンタジー。そんな映画の軽さを映画内でも突っ込みまくる程、余裕たっぷりの筋運びに感嘆。それでいて要所要所は気合が入っているので、いくら突っ込まれまくっても揺るがない世界観に感嘆。いやーよかったなあ。
 1回目に見た時は観客の数こそ少なかったものの、どうも笑いのツボが同じ人がたくさんいたようで、かなり観客全体で笑えて大変気持ちが良かった。笑い屋的な笑いは御免だが、どうしても吹きだす場面が揃うと、映画館で見るってやっぱりいいね、と思うわ。

*1:結局、その日は全回満席だった。

*2:結構面白いフェイクドキュメンタリー。