チャプター27 (J・P・シェファー) ★★

 常々思っていることだが、人間はサインを欲しがる奴と何故人がサインを欲しがるのか理解できない奴の2種類に分けられる。
 自分はどんなに尊敬する人物のサインであろうと、その紙で鼻をかんだりケツを拭いたりすることができる人間なので(実際小学生時分に好きで読んでいた某漫画家のサインを親の友達が貰ってきてくれことがあったが、一応ありがとうとはいったものの数日後色紙をメモ用紙代わりに使ってゴミ箱に捨てた。マンガ自体は今も好き。あ、サイン自体が金になる場合はお札でケツを拭くようなものなので別)、サインという物を欲しがる気持ちが本当に分からん。
 …という訳でこのジョン・レノン殺害犯であるところのマーク・デイヴィッド・チャップマンを主人公にしたこの映画、見る前はこの殺人犯に物凄く感情移入できるんじゃないかと期待していたんだが、彼がジョン・レノンにレコードへサインをして貰い、めちゃくちゃ興奮するシーンを見て、ああ残念ながらこいつと俺は根本的に違う人間だということが理解でき非常に落胆した。
 俺がもしジョン・レノンという存在を本気で殺さねばならないと決心した暁には、まず第一に彼が今まで使用した全てのスタジオを爆破し、存在しうる全てのオリジナル音源を燃やし尽くす。そして世界中のレコード小売店と住宅を襲撃し、ジョン・レノンに関わる全てのLPと楽譜を粉砕し全音源を聴取不可にする。はっきりいって、これらの事を成さずに毎日オノ・ヨーコとファックするのが大好きな男を銃殺しただけでことたれりとするチャップマンの思考の未熟さはいくら糾弾しても足りない。本当、銃を数発撃っただけで殺人者とか犯罪なめんな。