グーグーだって猫である (犬童一心) ★★★1/2

原作未読。
24年組の少女漫画には一時期かなりはまった口なので*1大島弓子も結構好き(劇中にも出てくる、結構高い大島弓子選集を金の無かった高校時代に新刊で全部揃えてた)。だもんで、この映画が大島弓子原作だと聞いて、サバが死んだ後に別の猫飼ってたんだーぐらいの軽い気持ちで見に行ったら色んな意味でビックリ。これ「ねこ大好き映画」じゃなくて「大島弓子大好き映画」じゃないですか。「ぬこかわいいよぬこ」とか言うためにきた観客が呆然としている様が目に浮かぶ。
もちろん「金髪の草原」も撮ってるんだから、犬童監督が大島弓子好きなことは知っていたものの、ここまで全編「大島弓子大好き」で溢れているとさすがに気恥ずかしい。何しろこの映画の登場人物は全員、大島弓子が好きで、どれだけ大島弓子のマンガが素晴らしいかを語りまくるし、直接・間接問わず大島作品の引用が山ほど出てくるのだ(サバ役がマンガの絵柄と全然違う大後寿々花なのはちょっと「綿の国星」のチビ猫風?)。
平たく言えば「大島弓子主演の大島弓子二次創作同人映画」といった塩梅で、大島弓子を全く知らない人には、かろうじてテーマとして伝わるミッドライフ・クライシスな部分で引っかからないと、意味不明な小ネタだらけの映画かもしれぬ。
多分、大島弓子本人はこの映画をまだ見てないと思うが(見たら多分、ウギャーと叫んで劇場を逃げ出す)、この映画が大島弓子への決して届かぬラブレターであることも劇中描かれるているので「犬童監督やりすぎ。あほだなあ」と感動。
が、ここまでくると、熱心な大島ファン程「こんな風に大島弓子を描くなんて許さん」等と反発必至と思われるので、自分のようなゆるーいファンが一番楽しめてお得。

*1:一番好きなのは山岸涼子なので、某ゼロ年代評論は言いがかりとしか思えん山岸批判にムカついて捨てた