今日はアンリ=ジョルジュ・クルーゾーの命日

だってことを、今朝知った。クルーゾーといえば有名なのが、「恐怖の報酬」と「悪魔のような女」、そして「情婦マノン」でございますな。
という訳で「情婦マノン」をさっき見直したんだけど、やっぱすげえやこの映画。原作「マノン・レスコー」を現代風(つまり製作当時の第二次世界大戦後)に脚色したこの作品、何がすごいってラストが凄い。


※あー、こっからネタバレ。自分も見る前に、淀川長治ネタバレ解説聞きましたが。

話は、恋人がありながらも贅沢を望むあまり、娼婦家業に身をやつす女マノンと、そんなマノンに惚れたばっかりに実の兄までも殺してしまった男ロベールの回想と逃避行。

…なんですが、終盤、二人が砂漠を横断する最中、アラブの武装集団が放った流れ弾に当たり、マノンがあっさりと死ぬ。

そんな愛しいマノンの死体を抱えて涙ながらに、泉を探すロベール。


この画を最初に見たとき、思い浮かんだのが「イングリッシュ・ペイシェント」なんですが(多分この映画のマネ)、すぐそんな甘っちょろい話じゃないことに気付かされる。

強烈な陽射しが照りつける砂漠を、死体を抱えながら歩き続けるとどうなるか? 

そう、めっちゃ疲れる。


かくして、マノンの死体を引きずるロベール。

終いには、足を抱えて逆さ吊にするロベール。

(君は捨てられた)

(残ってればよかったのよ)

(彼女は根っからの娼婦よ)



それでも続く強烈な陽射しの中、ロベールは幻聴を聞き始める。




もはやこれまで、と悟ったロベールはマノンの死体を砂漠に埋め、共に横たわるのだった。

FIN


という映画なんですが、どうでしょうか。逆さ吊りは、間違いなく「ショックを受けたシーン」ベスト10に入ります。本当、驚いたのよ。
あと、今キャプチャしたビデオって「カット版」だということに今、気付いた… IMDBだと100分らしいんですが、90分しか無いよこのビデオ。
実は、事前に聞いた淀川長治解説によると、ラスト近辺でマノンの死体が腐り、ハエがたかる描写があるとのことだったのに、本編を見たらそんな描写が無くてしょうがねーなーボケジジイ、とか思ってたんですが、もしかするとそのシーンは本当にあるのかもしんない。あと、どうもロベールが兄を殺すシーンもカットされてるっぽい(殺そうとするカットの後、すぐに死体のカットになる)。クソ。ちなみにこの素材は「IVC」の物。やっぱり。