交渉人 真下正義 (本広克行)  ★★★★

すげー面白かった。大満足。
…でもなー、映画として結構良く出来てる分だけ、細部がいろいろ気になっちゃったよ… 踊る1,2はそんなこと別に気にならなかったんだけどな。まあ、あっちはお祭りだからなー。映画には厳しいよ、俺。

という訳で以下、完全ネタバレ注意。








もしかしたら俺の勘違いかもしれないけど、気になった点をいくつか。
特に気になったのが中盤、寺島進演じる木島刑事の地上追跡サイドと真下正義サイドがそれぞれ大ポカしちゃうところ。
犯人が乗ってる(と思われる)カエル急便の車を部下の進言があったにも関わらず、捜査しないでスルーしちゃう木島刑事。このシーンを見たとき俺は思ったね。あれだけ「勘だよ勘」って木島刑事はいってるんだから、つまりこのカエル急便は犯人がミスディレクションを誘おうと仕掛けたブービートラップで、木島刑事は自身の天才的勘を発揮してこの罠を回避したんだ、と。後で知らずに近付いた別の警官が爆発しちゃうんだな、と。
そう思ってたら、やっぱりカエル急便が犯人なんだって。うそーン。木島刑事、あんたの勘、駄目じゃん。その事実が判明した後でも、部下に誤らないし。おいおい、ここで事前にひと悶着あった部下との感動和解シーンじゃないの?本広監督〜。
真下サイドの失敗は、当然永田町駅でのクモ狙撃シーン。結局クモに爆弾は積まれてなかった、ってことはここで狙撃をしてコンピューター破壊に成功していたら、事件あらかた終わってるってことだよね? いや、ここで爆弾の有無が分からない以上、狙撃を止めるべきなのは重々承知してますが、わざわざ全部お膳立てが整っていた作戦を自分の推理で止めた、そしてその推理が間違ってたってことはやっぱり失敗じゃん。お前がいなきゃ、狙撃でケリついてたぜって話じゃん。こっちも真下に失敗した、っていう反省が全くないし。
この「旨くやってりゃもっと早く解決したのに」感が事件解決のカタルシスを見事に半減してくれます。どうしたこっちゃ、これは。特に木島刑事の失敗なんて、映画に入れる必要ないじゃん。削っちゃえよ! どうしても犯人との接点作りたいんなら、捜査できなかった理由を部下の方に押し付けちゃえよ!



と、正直この点に頭抱えてた訳ですが、今、その理由を捏造完了。
ああ、そうか。多分元々の設定では、今の推理通りカエル急便の車がブービートラップで、クモにも爆弾積んでたんだ。で、犯人もクモに乗ってたんで、最後は追い詰められた犯人がクモごと自爆。そして確か序盤に登場した「工事中」の看板が立ってる地上の道路が陥没して地上大パニック、という大スペクタクル映像があったんだけど、今回の事件で自粛・封印が決定、今の公開バージョンに超多忙スケジュールで編集し直した、という経緯があったからじゃないか、と。こりゃすごい。こんな物凄い荒業を1週間かそこらで成し遂げることができるのはやっぱり亀山千広Pしかいないな。凄いぞ、亀P。
でも、新たな犯人像がどうしても構築できなかったなんで、しょうがないから犯人を帆場英一(しかも押井守でさえあきらめた幻バージョン)にしちゃったと。でも、さすがにこれは無理ありすぎだろ。パト1と違って、ついさっきまで直に交渉してた相手だぞ。それよりは、真下正義のオルターエゴ、もしくはドッペルゲンガーてところの方がまだありえるよ(そうか?)。
そんなこんなで俺調査によると、パトレイバーを知らない観客は結構な確立で「容疑者 室井慎次」に今回の事件の真犯人が出てくる、と思い込んでますよ! >亀P  もし、本当にそうなら誤るけど。


て、4つ星なのにちっとも褒めてない!>俺
鉄オタじゃないけど、クモがフリーゲージシステムでレールチェンジしてる画は、なかなかかっちょよかったです。
つーか、本当に面白いんだって! 俺は本気で「交渉人(2回見てる)」より面白い、と断言します。