男たちの大和 (佐藤純彌) ★★★★ 

 どうせ最後は「タイタニック」だろ? というこちらの邪推もなんのその。現代から始まり、沈没した大和の実際の映像が流れ、そして大和沈没現場に向かう老人、と初っ端から直球勝負で「タイタニックである。
 が、こちらのタイタニックは、最終航海での目的があの氷山に追突すること自体であり、乗組員全員がその運命を承知していた、という点からいうとよりドラマツルギーに沿っているとも云え(それだけタイタニックが頑張ってたということでもあるな)、「戦艦大和大爆破」とまでは行かないものの、心配された「戦艦大和 Who are you?」てなことにはなってなかったんで、安心しておすすめできます。
 実をいうと、実物大セットを6億かけて作った、というほどスケール感タップリなシーンはそんなに多くなくて、実際「舞台劇でもいけるんじゃねえか」と思ったくらい各シーンの「大きさ」が均等で、戦闘も戦艦のごく一部分にだけ焦点があっていることがほとんど。結果、大和の巨大さ・広さといったものはあんまり感じられなかった。けれど、よく佐藤純彌監督に関する言説で聞く「本来はこじんまりした作品の方が向いているのに、大作ばかり任されている不幸な監督」という話からいくと、結果なかなか面白いものができたのはそのせいか、といい方に解釈した(「新幹線大爆破」以前は見たことないんだけど)。
 それにしても、ありえねえなこれ↓

 製作の角川春樹氏(63)は悲願の1000万人動員へ「東映系だけでは上映館数が足りない。東宝の松岡(功会長)さんと話し合ってくる」と、前代未聞の提携申し入れを表明した。

 舞台あいさつが行われた東京・銀座の丸の内TOEI(1)、(2)は初回に計1000人が入場。通路は立ち見客であふれ、館外には次回上映を待つ3重、4重の列ができる盛況ぶり。配給の東映は「興収60億円は見込める」と気をはいた。

 主演の反町隆史(31)、中村獅童(33)らは「我々の思いが詰まった作品が、きょうから旅立ちます」(中村)と感無量の面持ち。その中で唯一、「オレには今日からが本当の戦いだ」と、引き続き戦闘意欲満々なのが角川氏だ。「目標達成には500スクリーンが必要で、松岡さんに会う。戦争に勝つためにはどこにでも出向く!」と、東映本社内で東宝との提携を表明。松岡会長に面談の要件は説明していないという。角川氏の進撃は、まさに今日からが本番だ。*1

 「60億」ww「戦争に勝つためにはどこにでも出向く」ww
 こんな角川春樹の執念に当てられ、長渕剛が主題歌書いたり、(そこ「白い粉同盟」とか言わない)長嶋一茂までもが結構いい演技見せたり(これ本当)、主役といっていい少年を演じているのが「NANA」でナチュラル・ボーン・ホストこと、シン役を演じてた人だったり(これ今知った)そこかしこに張り巡らされた春樹マジックを堪能できること間違い無しの一大イベント。是非映画館で。
 いや、最近国に一人くらい角川春樹がいてもいいじゃない、と思うようになってきたんで。