レディ・イン・ザ・ウォーター (M・ナイト・シャマラン) ★★★

 毎日アルミハットを被りながらシャマラン先生の新作を心待ちにしている我々シャマラニアンにとって、とうとう待望の新作封切り日がやってきた。今回の作品は、これまでにない程シャマラン先生の直接的なメッセージが込められた超問題作である(まあ、今までも全部問題作だけど)。そんな問題作であるが故に、正直素人にはお勧めできない。さらにこれ以上はネタバレをしなければ触れることが不可能。鑑賞予定の方はご注意を。






 はっきりいって、今作のストーリーは酷い。実際、今あらすじを思い浮かべると「それ、いつの時代の自主映画?」と思わず口に出してしまいそうだ。が、それでも基本的にこの映画は「アンブレイカブル」、「サイン」、「ヴィレッジ」等これまでのシャマラン映画と同じ「信仰」の物語である。そして「信仰」の対象がチープなおとぎ話になった分、シャマラン先生のメッセージはより明快になる。
 「どんなにチープで退屈な物語だろうと、信じる心さえあればその物語は我々に力を与えてくれる。だから、物語に没入しようとせずに揚げ足ばっかり取りたがる評論家の見方は間違っているし、彼らの解釈は当然全くの見当違いなのである。よって、そんな評論家崩れは犬(だかよく分からん奴)に食われて死ね
 本気か?と思わず問い返したくなる、この主張なのだが今回のシャマラン先生の役どころを見れば100%本気だということがよく分かるだろう。今回先生は明らかに一線を越えた。だって今回の役どころは「世界の命運を握る一冊の本を(これから)書く男」である。普通の人ならこんな役柄を絶対に自作自演はしない(恥ずかしいから)。それなのに何故先生は今回この役を演じたのか? もちろん、先生は本当に「世界の命運を握る一冊の脚本」を書こうとしているからだ。もしその「なんちゃらCookbook」の脚本が書きあがった時、当然その映画は製作・監督・脚本・主演:M・ナイト・シャマランという布陣による、真のシャマラン映画となるだろう。その日がくる事を信じながら我々シャマラニアンは毎日アルミハットを被り続けるのだ。ナマステ。