監督・ばんざい! (北野武) ★★

 ちまたでは「監督・犯罪!」という声もちらほら聞こえてくる訳ですが、そんな事は無く非常に完成度の高いダメ映画だった。
 だけど難点がいくつかあって、一つは前評判通り「コールタールの力道山」部分がダメ映画としての本作の強度を著しく揺るがしていること。この部分さえもっとダメにすればダメ映画のマイルストーンとして歴史に名を残しただろうに、と残念でしょうがない。
 さらにもう一つ。こっちの方がより重要だけど、この映画は映画監督北野武が色んなジャンルの映画に挑戦しては失敗し、その失敗の度に監督の身代わりとなって監督人形が変死する、てのがパターンになっていて、だから当然ラストカットは「今度は本人がきて下さいよ」と冒頭忠告された医者の前で「壊れてます」とダメだしされた直後、変死体となった北野武本人のカットで終わるはずなんだが、それが丸々カットされている。つまりこの映画は、この映画単体では完結せず、将来北野武が変死体として発見され、はじめて完結するのだ。いや、マジで。
 こちとらそんな長い間待ってるほど暇じゃねえ、ということで★一つ減らして二つ星。かといって近いうちに完結されるとそれはそれで困る。