オカルト*1 (白石晃士) ★★★★★

突如頭に浮かんだお告げに従い、大枚はたいて新幹線に飛び乗ったところ(三連休パス26000円也)、気付けば渋谷でラザロのマユミ*1の「東京マラソン出走宣言」を目にしていたのであった。
話は変わるが、映画ファンなら誰しも経験ある答えるのが面倒くさい質問に、大して知りもしない人からの「面白い映画教えて」がある。昔はいい加減に答えていたものだが、数年前から間髪入れずに「ノロイ」と半分嫌がらせ、半分本気で答えていた身からすると(だって「ノロイ」がつまらないって感想は信じられねえ)この「オカルト」は当然見る前から物凄く高いハードルを掲げていた。が、それは軽々と突破されてしまったのである。
何より、この「オカルト」には「ノロイ」には希薄だった「笑い」がある。それも軽い笑いではなく、笑っている最中に監督の声で「笑い死ね」という声が聞こえる程の強力な笑いが。
我々人間は一方向からの攻撃には何とか堪えられるが、こんな爆笑と戦慄の往復ビンタにはなすがままにされるしかなく、終盤まさにパンチドランカーと化した観客の頭上をフェイクドキュメンタリーの垣根と共に軽々と飛び越えていく白石監督の姿には心底感動を禁じ得ない。

が、あまりに感動でボーっとしていたため、舞台挨拶で監督直々に宣伝していて帰りに絶対買おうと思っていたパンフを買い忘れてしまったのが悔やみどころ。他に舞台挨拶では白石監督がついさっき石井聰亙監督に下で遭遇したが、「オカルト」じゃなく市川準特集を見に来ていたとか(監督のベスト1ムービーは「狂い咲きサンダーロード」らしい)、最後「音が凄いですよ!」と監督が言ったら、いきなり上映が無音でやり直しになったとかいろいろ楽しかった。なにはともあれ全人類必見。

*1:実はまだ「ラザロ」見てないんだが