ゴースト・イン・京都 (ケヴィン・コナー) ★★★

ゴースト・イン・京都

 もちろん、自分はこのふざけた邦題だけ見て米盤DVDを買ったんだけど、実はハリウッド版「呪怨」を20年以上先取っていて、更にアメリカ人の日本に対する言語化できない恐怖、そして日本の排外主義を暗示した実に巧みな社会派ホラーだった*1
 なんといってもこの映画、こんな邦題のくせに日本描写が結構自然でまとも。どのくらい自然かというと、風景にパラオ 世界の遺産展」というでっかい垂れ幕がかかってるくらい自然。一目見ただけで、もう心はパラオ。さらに、恐怖描写もかなりまともで、川に落ちた途端、海女の集団に足を引っ張られるシーンは泳げない俺にとって、もうまともに凝視することすらできない。そして、寝床にスベスベマンジュウガニ*2の大群がやってくるシーンで恐怖はピークに達する。何しろ食えば死ぬのだ。
 そういえば、このアメリカ人一家を苦しめる霊は武士とその妻、そして間男の3人の霊なのだけれど、冒頭殺しあった3人はその後一緒に仲良く幽霊として登場し、映画のラスト、何故かアメリカ人に乗り移った後、また再び殺しあう(何故かカンフー)。つまり、監督ケヴィン・コナーにとって、凶暴性とは肉体そのものに宿るのだ。肉体ある限り、人類は戦争をやめぬ。肉体を捨てよ。これがこの映画に込められた、監督からのメッセージと言うのは考えすぎだろうか。いやそうではない(反語)。
 何にせよ、スーザン・ジョージ服部まこの無駄な脱ぎっぷり、「オタミよ〜」*3そして驚愕のクライマックスだけでも、この映画を見る価値は十分にあることは間違いないので、レンタルビデオで見かけたら即借するべき。

*1:大嘘

*2:じゃないかも。なんかのカニ

*3:見れば分かる。